野球肘とひとくくりにしても、障害の度合いや種類により治療方法はそれぞれ違います。
中には投球を休止し、ストレッチを行うことで筋を伸ばし回復の兆しを見せることもあります。テーピングなどで固定し、肘を休ませることも、治療方法の一つです。
しかし無理を重ねて障害の度合いが重くなり、手術をもってでしか治療できないこともあります。
野球肘は外側、内側、後方という3つの型があります。
小学生の内に発症が多いのが、外側型で、正式名称は離断性骨軟骨炎と呼ばれるものです。これは肘の曲げ伸ばしに部分の軟骨が痛んだために起こります。治癒が早期であれば治りますが、悪化してしまうと将来障害が残ってしまいます。
早期に原因を見つけるためには、超音波診断が有効です。超音波検診により外側型であるかそうでないかがわかります。
手術を行うかどうかの判断はMRIによって行います。
また野球肘の大部分はこの外側型になります。対して内側型と後方型は、フォームの異常やストレッチ不足などから発症します。ただし内側型の場合で靭帯がきれたものは、靭帯の手術が必要です。
さて外側型の治療法には大まかに分けて3種類あります。
一つは昔ながらの方法で、骨切り法と言って、痛んだ部分への負荷を減らすため、骨を切って関節をずらす方法です。切開部分が大きく、復帰には一年近いリハビリが必要になります。
もう一つは痛んだ骨や軟骨部分を摘出し、骨髄から細胞や成分を関節部分に注入し、再生修復を行うドリリング法です。年齢の低い程有効で、速い方で2から4か月程度で復帰が見込めます。
最後に身体の他の部分から代替の骨や軟骨を移植する骨軟骨移植法です。こちらは、ドリリング法で修復が見込めない方や、痛んだ面積が広い方が受けるようです。ドリリング法と骨軟骨移植法はどちらも関節鏡により切開の大きさは数ミリです。
いずれの方法も復帰は数か月後となります。悪化させないためには、普段のストレッチやフォームの崩れを見直すこと、基礎体力を向上させるなど基本をしっかりと守ることです。